2013年3月20日水曜日

利害相反する各世代に共通する経済スローガンとは何か

全体のパイがなかなか増えない経済においては、何かをやればほかの何かをあきらめざるをえない。

80年代までは、経済成長は続いていたし、国民の向いている方向は「今日より明日が良くなる」で一致していたから、だいたい何をやるにも大きな関門は少なかった。
うまくいく頃に作った仕組みを引きずりながら、ここまで来てしまったのが、今日のいろんな閉塞感を生む大元になっている。

政治が結果責任というのならそれは自民党の責任だ。

今日の二つの大きな問題は、経済全体のパイがなかなか大きくならないということと国民が世代によって全く番う方向を向いているということである。

最初の問題には自民党政権が新たな気持ちで頑張っている。しかし、2番目の問題はなかなか厄介だ。これを調整するのが政治の役目のはずだ。時間と苦労が大きくかつ地味ときている。しかも、扱い方によっては政治生命を脅かしかねない危険性を持つ。本音ではできれば手を付けたくはないと見える。

60代以上は全体を見れば金持ちだが、ミクロでみるとスーパーリッチとぎりぎりの年金でインフレ、消費税増税の足音におびえる人たちに2極化している。前者は多少の負担はやむを得ずと思っていても、後者はただひたすら現状維持を願うだろう。

50代は年金を期待してはいけないと思いながらも、ある程度の期待はしているという非常に矛盾に満ちた人たちである。年金支給開始までの間をどうつなぐかが目下最大の関心事である。この世代も、改革を口にするものの、本音はなんとか現状維持であろう。

40代は目先の教育費用と住宅ローンの支払いのことで頭がいっぱい。ヘタするといつ肩をたたかれるかもわからない。自分のことで精いっぱいで、政治を考える余裕はあまりない。アベノミクスにお任せするしかない。

20-30代はバブルを知らないし、不可確実性への心構えはきちんとできている。最初から覚めている。年金には期待できないと思っており、自動的に天引きされる年金積立には不満も感じている。多くが政治に不満を感じているものの、どうせ何も変わらないと思うので積極的に関与しない。

これらの人たちを束ねて国のかじ取りをしなければならないわけだから、本当に政治家は大変だ。これらに対する答えの最小公倍数が「高度経済成長を取り戻す」ということになる。個別にゼロサムゲームをやっていては収拾がつかないということがなんとも悩ましい。しかし、与党野党問わず政治家には、ぜひこの2つ目の難題も忘れずに手を付けてほしい。